2012年12月29日土曜日

選挙とクリスマスを超えて、そして・・・

街中、どこかに行けばクリスマスソングが流れていた時期を終え、スーパーで買い物をしていても第九が流れる時節となり、選挙も経たことで世の中は色々と切り替わったムードとなったようにも感じる。

この12月で大きなトピックは、やっぱり衆議院の選挙があったことだろうと思う。ここから考えてみたい。

民主党:冬の陣の巻(あるいは冬に選挙するっていう事の意味について)

今回、どういうわけだか野田総理がこの時期に解散を決めて、あれよあれよという間に選挙になってしまって、自民党大勝という感じになった。自分は勝手に選挙時期は充分に準備ができる夏だと思いこんでいた。で、参議院と併せて同日選、のような。

なぜなら、この冬にいきなり選挙となると、その準備が組織としてやり慣れている自民党と公明党の候補に有利であって、自分がもし民主党の偉い人だったら、与党になって3年、まだまだ基盤の弱い若い議員を沢山抱えているのだから、1日でも長く与党として活動して、支援者との関係性を強化したいと思うところだろう。

普通だったら総選挙は、世間の人たちの仕事の少ない(?)8月あたりにやって、祭り気分を盛り上げ、投票率が高くなって、浮動票、つまり普段選挙に行かないような人の票が沢山集まって結構、大きな意味を持ってくるところなのだけれども、今回は、やはり60%を割り込む結果となったのだった。

これは、今回話題になった「第三局」潰しのためにやったのだろうかもしれないな、なんてことも感じる。

おそらく第三局の人たちも、えー、もう選挙なのー?困るよー!と思っていた人は多かったようで、またその準備も、第三局の偉い人たちが主導権争いをしていて、連合して選挙の具体案(政策は何を訴えるか、どこの組織と組んでどこと組まないか・・など)も、固めきれず、結果、どう選挙するかを組み立てるところまで行ってなかったようだ。

実際、その第三局の立場から選挙やってるところを見に行ったのだけど、「党本部が機能していない・・・」ということを言っていた。
一方、街は自民党の候補のポスターでいっぱい、みたいな感じ。創価学会の人たちは今回もみんながんばったんだろうね。
自民と公明なんて、目指す政治がまったく逆方向なのによくやるよ、とも思ったものだけれども、ある意味、自民党の暴走を食い止める歯止めになるのかもしれず・・何とも言えない。

だいたい選挙を仕切る党本部の仕事、あるいは政治家たちのバックヤードで働くのは割に合わないことが多い。

仮に党本部の職員になったとすると、
1.公職選挙法に関する非常に高い知識が要求され(これがないと運動員や候補者も捕まりまくりになります)2.多数の候補が、知名度の高い議員や代表が(自分の)応援に来ることを望むために高い調整能力が要求され、3.ポスターやビラの選挙マテリアルを企画するためのセンス、その他、適切に必要なものを調達して配布するなどの高い兵站能力が要求され、4.別に選挙に勝っても自分が議員になれるわけでもなく、負ければ対応が悪かったせいで負けた、などとdisられるなどの役回りとなり、この仕事をやって他人から評価を得るのは、かなり難しい。

それだけの能力があれば、自分で何かをするぜ、ということにもなるかもしれないけど、一方でひとりの政治家を生み出すには、相当の人が組織的に活動することが必要なのであります。
それは間違いない。
さらに、その組織を超えて勝敗を左右するのが、いわゆる風であり、浮動票でもあるわけですね。

今回の衆院選では、12党が選挙に出て、少数政党が集まって「第三局」を作って、自民でも民主でもない政権を作るんだ、などと言っていたけれども、実際、その考えが有権者に浸透し、しかも支持されなければ、その政治信条を納得して、投票の時に名前を書いてくれる、というところに行き着くわけもなく、結局、民主党はイヤだから、よくわからないから自民党にしよう、という心理は働いたのかもしれない。もし第三局潰しが野田総理の今回の選挙の目的であったとしたなら、充分にその任を果たしたようにも思えるのだよね。(もっとも、民主党はそれで小さくなってしまったけど。)

それでも維新の会は、かなり躍進したけれども、これは自民党がいやな人たちが投票した結果だとは思う。
ただ彼らの政策はそんなに自民党と変わらない感じもする。

第三局のある人曰く「結局、自民党に入っても二世、三世じゃないと上がっていけないんだよな・・」という言葉があって、事実、安倍晋三さんは岸信介の孫だし、麻生太郎さんは吉田茂の孫、石破さんだって・・、というところでもあり、そういう意味では、ちょっと日本社会における身分制度的な壁を感じるところもある。

特に維新の会に入った理由というか、入っている候補たちというのは、自民党と同じような考え方を持っているけど、公認をもらえなかったような人たちが多くて、実際、橋下さんの参謀になっているのは、堺屋太一さんとか、あるいは竹中平蔵さんとか、かつて自民党政権で参謀役をやっていた人たちがバックにいて、さらに石原慎太郎さんが党首になったという流れになっている。そう、みんなかつての自民党出身であります。

さて、一般の人の話に目を向けて見る。ネット界隈の人たち(いわゆるネトウヨではない、ちゃんとした人)の言説を見てみると、例えば脱原発についてどう思うかについても、今後どうするかについては、賛否いずれもとにかく色んな意見を戦わせてはいて、割と理性的な人が多いと思う。例えば、福一では原発そのものがずさんな管理だったとか、使用済み核燃料が未だ危険な状態だとか、色々と改革しようにも原子力ムラの存在があるとか、そういったものがあることの危険性について、一応、それを前提に色々と考えているように感じるのだけど、実際に選挙で投票をする人たちのボリュームゾーン、その多数は中高年から以降で、さらにその情報ソースは当然テレビや新聞に偏っていて、ものを考えるという習慣に関して言えば、結構感情的というか。

例えばあるおばちゃんは、「これから中国だって、韓国だって、原発を作っていくのよ!原発がなかったら日本から仕事がなくなって貧しくなるんだから!あたし達はだまされないんだから!」と言っていた。敵対する外国に対して原発がないと、経済的、国力的に不利になるんだ、という言説を、割と(感情的に?)信じていた。

さらに消費税増税について。消費税増税が参議院を通過した日、この日はイミョンバクが竹島に上陸した日でもあるのだよね。
その日に野田総理がテレビに出てきてしゃべっていたのを見ていたのだけど、「今回、消費税増税マニフェストを守れなくてごめんなさい。ところで今回、竹島に上陸した韓国大統領の行動は許せません。断固として毅然とした対応を」みたいな感じで、あれ消費税とかマニフェストはごめんなさいで終わり??と思ったのだけど、さらにその後、この件はエスカレートして、小さな島を巡る日韓の衝突が、いつのまにか日中の尖閣諸島の問題にすり替わっていて、なんなんだろう、みたいな。で、街でもあまり消費税の話はしなくなってきた。

これ、ひょっとしてものすごく巨大な茶番劇なんじゃないだろうかと思うこともある。
なんか、感情を揺さぶって目をそらせるという手は結構有効なのかな、という気がしなくもない。
でもまさか、このレベルで茶番劇をやるのかと思うと、いやまさかそんなことはないよなあ、と思わなくもない。

ちょっと個人的印象の羅列になってしまったけど、言いたいことは:

1.有権者のボリュームゾーンは、中高年層であり、投票活動においては大きな力を持つ。
2.その中高年層の情報ソースは、主にテレビと新聞。ネットを使える人は少数派。
3.テレビと新聞で感情を揺さぶられると、理性を失った投票行動に出やすい(んじゃないかな?と思った。)

という感じで、かつての「B層」という言葉も頭をよぎってしまう。マスコミおそるべし。

次回:第三局:次の夏の陣はどうなるのの巻(参院選はどうなる?)

・・・読む人がいるなら、そのうち書くかもね。(´∀`)