2013年1月13日日曜日

本はこの後どうなる?

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今日、あるニコ生の番組を見ていたら、アマゾン.comの話が出ていた。

アマゾンは、それまでどこの本屋もやらなかったことを色々とやっている。
その中で、新品の書籍と中古の書籍を同時に売るということをやっていて、これをやられてどのぐらいのどれぐらいの人が新品の本を買うのか、そういうことは業界からすると脅威だ、ということ言っていた。(理由は、売り上げが下がるから、だろうと思う。)

しかし商売というものは、一方に買う立場というものも存在する。その立場からすると、実は本は新品でなくても構わない、別に読めればいい、安い方がいいという客層も現に存在していて、ではそういう人に対しても、新品の本のみを売るやり方の方が正しいのか?という問いが生まれる。
そういう客としては、出版社「のみ」が新品で高い本を売って利益を上げられる構造より、色々な人が安い本をたくさん買って読める方が好ましい世の中だ、と言いたくなるだろう。

世の中における道具というものは常に変化していて、例えば、江戸時代に徒歩や籠、あるいは馬に乗って東京から名古屋に行っていた人が、科学が進歩した現在も同じような交通手段を使うだろうか?といえば、答えは否で、普通は新幹線が第一選択肢になるだろう。東京から沖縄に行くのであれば、第一選択肢は当然飛行機ということになる。船に乗っていたら週末だけ楽しんで帰ってくるということは無理だ。

同じようなことが本を買うという購買行動にもあって、まず読みたい本を探して、購入するというプロセスにおいては、特にマニアックな本になればなるほど、アマゾンのような検索ができるネット販売が便利なわけである。まずマニアックな本をリアルに買おうと思えば、これまで大きな書店に行って探すしかなかったし、見つからなければ別の書店を探すか取り寄せするということになるわけだけれども、これをあちこち動くための交通費、あるいは時間をお金に換算すると、非常にコスト高になるわけである。もちろん、見つからないことだってある。

それがインターネットのおかげで非常に迅速に自らが欲しいものが手に入るようになったのだから、まさに社会の進歩と言えるだろう。さらに色々な人たちの書籍の購買パターンを見て、興味を持ちそうな本を提案してくれるというところまで来ている。
もちろん、それは、いいことばかりということはなく、一方で江戸時代に馬で生活していた人は、別の仕事に就かなければならないだろうし、あるいはそれがタクシーの運転みたいな仕事に代わるとすればクルマの運転技術も新しく身につけなければならなくなるだろう。だけれども誰しも社会の変化に対応しなければならないのは、人間社会というやつの宿命なんだろうと思う。

むしろ、出版関係の人に言いたいのは、今後「本を読む」という行動はどこに向かっていくのだろうか?ということを考えていくことが大切ではないかと。

現在流行しつつある電子書籍も、ひとつの方向であることは間違いないだろう。今は、電子ブックのデータの品揃えが少ないとか、紙の本に比べて大して値段が安いわけでもないとか、買ったデータが今後どうなっていくのかが不安(消えちゃうのでは?)というような不安要素が多いので、まだしばらくは爆発的に普及するということはないだろうけれども、これにはいくつも利点があるから、遠からず電子書籍は人々の間に普及するだろう。例えば:

1.電子的に本を購入させるシステムのため、本を購入するためのハードルが低い。(例えば、探して手に入れて読むまでの時間が少なくて済む。リアルな本は宅配しなければいけないけれども、データはネット配信で完結できる。)
2.かさばらない。(家で本を読む人は保管の問題を抱えている)
3.本文の検索性が高い。(あの言葉は、どこの何ページに書かれている?なんてこともわかる。)
4.エコ。(紙を無駄にしないで良い。あるいは在庫管理が簡単で社会的にも経済性が高い。)
5.紙の本ではペイできないレベルの本でも、紙に出版して流通させるという必要がないので出版が可能になる。(世の中にきめ細かい情報が広く行き渡る)
・・などなど。

近い未来、音楽や書籍というのは、アマゾンのようなサーバーを擁する企業が提供するものにすべて統一されるのかもしれないね。
もっとも、その頃にはアマゾンに対抗するような会社が出てきて、価格や品揃えで競争が行われているとは思うし、そうであって欲しい。
そういう意味では、今後、出版社は徐々に世の中で「世の中に情報を卸す」役割がなくなって、「実際に作り出す」編集プロダクションみたいなものに重点が移る時代なのかもしれないね。